甲状腺と精神状態

甲状腺と精神状態

甲状腺の疾患によってあらわれる心理状態や精神状態には、次のような例があるとかんがえられています。
・訳もなく苛々して怒りっぽくなる。
・些細なことでショックを受け、ひどく悲しくなる。
・落ち込んだ気分になったり、妙にハイテンションになったりする。
・穏やかな性質だった人の言動が荒々しくなる。
・明るかった人が暗く陰気になる。
これらは、甲状腺ホルモンの量が多過ぎたり少な過ぎたりして起こる状態で、本質の性格が変わってしまうわけでは有りません。
だから、薬の服用などの治療によって甲状腺ホルモンの量が落ち着けば、状態は変更されていきます。
ただし、治療を始めてすぐの頃は、甲状腺ホルモンが正常値に戻ろうとする作用の影響で、加えて不安定になる場合もあるとされています。
また、薬で体が楽になってきても、気もちの面でのつらさはかなり改善されないという場合もございます。
いずれにしても、湧き上がった感情を無理にがまんする必要は有りません。
泣きたい時には泣いて、人と話したくない時はだまっていていいのです。
ただし、状態を思いやってやさしく接する家族に対して、ひどい態度をとってしまうのも仕方のない事です。
薬は飲んだか、食事はしたか、よく眠れたかといちいち心配されるのは、疾患でなくとも鬱陶しいものです。
家族に疾患の事をよく説明して、必要以上にかまわないでいてもらうとよいでしょう。
なお、うつ病やその他の精神病と間ちがえられて、甲状腺に関する治療が遅れる場合があるので注意が必要です。